不動産売却関連

不動産の権利証を紛失してしまった場合の対応について

不動産の権利証を紛失してしまった場合の対応について

不動産の売却を進める際、「権利証(登記識別情報)」が必要となる場面があります。

これは所有権の移転登記を行う際、売主が「正当な所有者であること」を証明する大切な書類です。

では、この「権利証(登記識別情報)」を紛失してしまった場合、売却はできなくなってしまうのでしょうか?

結論:紛失をしていても、不動産の売却は可能です

ただし、「権利証(登記識別情報)」再発行はできません。
主な対応方法は次の3つです。

① 司法書士による本人確認情報の作成

司法書士が売主ご本人と面談し、本人確認(免許証・マイナンバーカード等)を行ったうえで、「本人確認情報」という書類を作成し、法務局に提出する方法です。

また、本人であることを裏付ける書類として、以下のような資料も可能な限りご用意して頂く必要があります。

  • 固定資産税の納税通知書

  • 水道光熱費の明細書

  • 火災保険証券

  • 建築確認申請書 等

実務上はこの方法で対応されるケースが最も多いですが、司法書士報酬として10万円前後の費用が別途かかります。また、司法書士は買主側が指定となります。

② 公証人による本人確認制度

上記と似た手続きですが、司法書士ではなく公証人が本人確認を行い、委任状に認証を付す方法です。

費用は数千円程度と比較的安価ですが、公証人役場での面談・手続きが必要なため、平日の対応・予約など手間がかかります。

③ 事前通知制度

権利証を紛失したまま、法務局へ所有権移転登記を申請する方法もあります。
申請後、法務局から売主宛てに「本人限定受取郵便」で通知が届き、2週間以内に返送すれば登記が進む仕組みです。

ただし、期限内に返送されないと登記は却下・取下げとなるため、売買代金を受け取った後に万一登記ができなくなるリスクもあり、通常の不動産売買ではこの制度は殆ど利用されません。

まとめ

売却のご相談時点で、すでに権利証を紛失している場合は、早めにその旨を不動産会社にお伝えください。

契約直前になって発覚すると、スケジュール調整や費用面で支障が出る場合もあります。

お手元ににあるかどうかを今一度ご確認いただき、万が一見つかった場合は大切に保管しておきましょう。