少額手付のリスクとは?売主が知っておくべき注意点
不動産の売買契約時には、買主から売主へ「手付金」が支払われます。
これは売買代金の一部として扱われ、同時に契約の真剣度を示す意味合いもあります。
手付金には大きく分けて「証約手付」、「解約手付」、「違約手付」の3つに分類されますが、契約書に特に定めがなければ、通常は「解約手付」として扱われます。
つまり、買主は手付金を放棄し、売主は手付金を倍返しすることで、それぞれ一方的に契約を解除できるのです。
ここで問題になるのが、「手付金の金額が少額だった場合」です。
金額が小さいと、買主にとって契約解除のハードルが低くなってしまいます。
売主が知っておきたい「少額手付」の2つのリスク
① 契約解除が簡単に行われてしまう
たとえば、売買価格が1億円の物件に対し、手付金が100万円だったとします。
これは、売買代金のわずか1%に過ぎません。
通常、手付金は売買価格の5~10%程度で設定されるのが一般的です。
このケースのように極端に少ないと、買主は「気が変わった」、「他に良い物件が見つかった」などの理由をつけて、100万円を放棄するだけで簡単に契約を解除できてしまいます。
✅注意したい買主の特徴
- 契約を急いでいるが、理由がはっきりしない
- 手持ちの現金が少なく、資金計画に不安がある
- 「とりあえず押さえたい」という姿勢が見え隠れする など
② 仲介手数料の支払いで赤字になる可能性
売主が不動産会社と媒介契約を結び、実際に買主との間でも契約が成立した場合、
たとえ買主が手付放棄によって契約を解除したとしても、不動産会社には仲介手数料の請求権があります。
つまり、「契約が解除された=手付金だけが残る」という状況の中で、
受け取った手付金より、仲介手数料のほうが高額になる可能性があるのです。
✅ここがポイント
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手付金が少ないと、契約解除時に売主側が損をすることもある
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不動産会社には仲介手数料の支払い義務が残る
まとめ
「とりあえず契約を先に」という誘いに流され、安易に少額手付で契約を進めることは、
売主にとって大きなリスクになる可能性があります。
契約を結ぶ前に、以下の点をしっかり確認しましょう。
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手付金の金額は売買価格に対して妥当か?
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買主の資金計画や購入の本気度は信用できるか?
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仲介会社とのやり取りの中で、解除リスクや費用面の確認は十分か?
不動産売買は高額な取引です。
小さな手付金で、大きな損失を生まないよう、しっかりとした契約内容の精査と判断が重要ですので、ご注意ください。