令和8年の地価公示価格が、国土交通省より発表されました。
地価公示価格は、毎年1月1日時点の土地価格を示す公的指標であり、不動産取引の目安として広く活用されています。
今回の発表では、東京都の地価は引き続き強い上昇傾向が見られました。
全体的な動向としては、住宅地・商業地は5年連続の上昇、工業地は13年連続の上昇と、極めて強い上昇トレンドが継続しています。
1.住宅地における公示価格
(1)区部
東京都区部では、前年比 +9.0%と前年より上昇幅が拡大しており、23区すべてで上昇しています。
上昇率が高い区
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港区 +16.6%
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台東区 +14.2%
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品川区 +13.9%
上昇率が低い区
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葛飾区 +5.6%
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江戸川区 +5.7%
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練馬区 +6.2%
背景
区部では、景気の緩やかな回復傾向を背景に、住宅需要は依然として旺盛です。
特に、都心エリアや都心に隣接する利便性の高いエリア、住環境の良い住宅地を中心に、幅広く地価が上昇しています。
(2)多摩地区
多摩地区では、前年比 +3.9%と、こちらも前年より上昇幅が拡大しており、26市2町すべてで上昇となりました。
上昇率が高い自治体
・国分寺市 +7.2%
・国立市 +7.1%
・立川市 +7.0%
上昇率が低い自治体
・あきる野市 +0.4%
・日の出町 +0.7%
・青梅市 +0.7%
・羽村市 +1.3%
背景
多摩地区では、再開発による住環境の改善や駅徒歩圏の利便性の高い住宅地では、地価は緩やかな上昇が続いています。
一方で、人口減少や高齢化が進む地域、バス便エリア、丘陵地の住宅地では、横ばいまたは下落傾向も見られ、地域による二極化が進んでいます。
2.今後の見解
公示価格から見ると、東京都の地価上昇は非常に強い状況ですが、いくつかの不安材料も存在します。
①中東情勢による原油価格上昇
中東情勢の緊張などにより原油価格が上昇した場合、建築資材価格や運送コストなどが上昇し、建築コストのさらなる増加につながる可能性があります。
その結果、新築戸建や新築マンションの販売価格が上昇し、個人消費の冷え込みや不動産需要の減速につながるリスクも考えられます。
②金利上昇の影響
住宅ローン金利の上昇により、住宅ローン返済負担の増加から購買力の低下という影響が懸念されています。
特に、都心マンションから郊外へ購入エリアを広げていた層では、購入に慎重な姿勢も見られるようになっています。
こうした懸念材料がある一方で、実務の現場感としても、都心のマンションや駅近物件は依然として人気が高く、公開と同時に複数の購入申込みが入るケースも珍しくありません。
今後は「立地」と「資産性」による選別が、より強まる市場になっていくと感じています。

